ギャラリーなつかの太田三郎展を見る

 東京京橋のギャラリーなつかで太田三郎展「Book jacket」が開かれている(6月27日まで)。太田は1950年山形県生まれ。1971年に鶴岡工業高等専門学校機械工学科を卒業している。1980年よりシロタ画廊をはじめコバヤシ画廊やギャラリーなつかなどで個展を多数開いている。

 ギャラリーのホームページより、

文庫本型ノートの表紙に、外国の切手や使用済み封筒を貼った作品40点をつくったのは2010年のことである。それらをスキャンして「Book jacket(ブックカバー)」に仕立てた。複製の「Book jacket」は表面がフラットな印刷物である。2021年から2023年にかけて、実物の切手をさらに貼り足してみた。

シリーズごとに「日本と外国の切手」「外国の切手」「日本・中国・韓国の切手」「エリザベス女王の切手」「日本の切手」とルールを決めてコラージュしたのだが、切手さえあればいく通りも作品がつくれそうだ。

本展では併せて「切手の栞」「Airmailplane」「紙幣の切手」を展示する。手紙はEメールに、本は電子書籍へ、紙幣は電子マネーへと移り変わり、いつか消え去るかもしれない「紙」へ惜別の思いを込めて。

 


 太田は植物の種を封入した切手状の作品や、太平洋戦争の戦死者の肖像を切手に加工した作品を作ってきた。ずれも私家版のような疑似切手作品だった。今回は実物の切手を使っている。今までの作品とはだいぶ違っているが、切手という切り口からは大きな違和感はない。

 複製の「Book jacket」に実物の切手を貼り足すことによって、1点物(モノタイプ)になっている。新しい展開を始めたのだろうか。

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太田三郎展「Book jacket」

2023年6月10日(土)-6月27日(火)

11:00-18:30(土曜・最終日17:00まで)日曜休廊

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ギャラリーなつか

東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F

電話03-6265-1889

http://gnatsuka.com/