私の文庫ベスト3

 私の選んだ文庫本ベスト3。


1.佐多稲子「夏の栞」(新潮文庫
 佐多稲子の若い頃からの大切な友人であり恩人である中野重治の最後を描いた作品。微妙な心理の機微を描く文体が絶妙だ。
佐多稲子「夏の栞」(20070103)

夏の栞―中野重治をおくる (新潮文庫)

夏の栞―中野重治をおくる (新潮文庫)


2.野見山暁治「四百字のデッサン」(河出文庫
 画家でありながら非常に優れたエッセイを書く人。人物評が秀逸でこの本で椎名其二を知り、森有正、小川国夫、坂本繁二郎、駒井哲郎らの別の一面を知った。


3.瀬戸内寂聴孤高の人」(ちくま文庫
 ロシア文学湯浅芳子と瀬戸内とのすさまじい交遊記。湯浅芳子のわがままぶり、突然の激情が繰り返し描かれる。それにも関わらず瀬戸内の湯浅に対する愛情が亡くなるまで続いている。
瀬戸内寂聴「孤高の人」は湯浅芳子の優れた伝記文学だ(20070114)

孤高の人 (ちくま文庫)

孤高の人 (ちくま文庫)


次点.トルーマン・カポーティティファニーで朝食を」(新潮文庫
 就中「クリスマスの思い出」を特に。少年とおばあちゃんの関係が美しい。

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

ティファニーで朝食を (新潮文庫)