山本弘の作品解説(26)「土の男」


 山本弘「土の男」油彩、F20号(72.7cm×60.5cm)
 1976年9月の飯田市勤労福祉センターでの個展で発表された。この時山本弘46歳。アル中治療のため入院していた病院をこの年の1月退院し、それから2年間禁酒したという。禁酒のせいか神経がピリピリしていて、ささいなことで怒った。
 土の男とは土工だろうか。背景の赤が美しい。山本は優れたカラリストなのだ。そして土方や老人、酒飲み、廃屋などを美しく描く。それは山本の価値観なのだ。
 山本は長谷川利行もスーチンも好きだった。彼らの影響が伺われるが、やはりこれは山本の絵だ。

(個人蔵か)