日本酒は鮮度が大事なのだ

 山廃仕込みの酒がうまいと書いてあった日本酒の本を読んだ後、たまたま日本酒銘酒会に入っている近所の酒屋に行って、その酒があるかと聞いた。すぐ、あるよと言って冷蔵庫の中から一升瓶を取りだした。店主が瓶を光に透かした後、50円くらい引いてくれた。帰宅して飲んだがちっともうまくなかった。製造年月日を見たら、1年以上前に作られた酒だった。彼が光に透かしたのはこれが古いことを知っていて澱がないか確認したのだ。澱はなかったけれど古いから50円引いたのだろう。
 以前奥多摩の澤ノ井酒造へ行って出来たての「沢の鶴」を飲んだら本当にうまかった。その時酒造の人が、日本酒は製造後3か月以内に飲んでください。3か月を過ぎると味が落ちますと言っていたのを思い出した。製造して1年経った日本酒がうまいはずがないのだ。それからその酒屋で買うのをやめた。
 昔某所で製造後1年以上経ったビールを飲まされたことがあったが、もう全く味が抜けていた。飲める代物ではなかった。日本酒とビールは鮮度が大事なのだ。それに対して、ウィスキーやブランデーは年数が経っても味が変わらないし、ワインは瓶の中で熟成する。
 沢の鶴も都内の酒屋で改めて買ったのは、先に醸造元で試飲した時ほどうまくはなかった。