カワウソを詠んだ短歌

 朝日新聞の朝日歌壇にカワウソの短歌が選ばれていた(11月25日)。佐々木幸綱選で阿部善信(愛媛県)の作。


川獺が消えて久しい佐田岬地名は今も獺越えの浜

 愛媛県にも獺越(おそご)えの地名があったのか。「おそ」はカワウソのこと。「獺祭」という日本酒がある。「だっさい」と読む。カワウソは採った魚を陸に上がって並べる風習があると言い、その状況を人が供物を供えて先祖を祭っているのに似ているとして、カワウソが祭りをしていると獺祭と呼んだ。獺祭書屋主人と号した正岡子規の忌日は獺祭忌と呼ぶ。
 日本酒の獺祭は、山口県の旭酒造が作っている。酒造のある山口県岩国市周東町獺越の地名に因んでこのブランド名を選んだとのこと。山口県にも獺越の地名があるのだ。
 ちなみにカワウソは英語でotter、そしてsea otterはラッコになる。ニホンカワウソはすでに絶滅したと言われている。上野動物園にいるのはカナダカワウソだったか。韓国などアジアにはユーラシアカワウソが分布している。動画などで可愛い仕草をして評判なのはツメナシカワウソという仲間。カワウソ関係でお勧めは、何と言ってもG. マクスウェル『カワウソと暮らす』(冨山房)に尽きるだろう。

カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))

カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))