おそざわ歯科とは? そしてニホンカワウソについて


 普段通らない道に「おそざわ歯科」と書かれた看板があった。初めて聞く名前だが平仮名だ。どんな字を当てるんだろう。もしかしたら「獺沢」かもしれないと思ったのは日本酒の獺祭を連想したからだ。

 最近日本酒の獺祭(だっさい)という銘柄が売れているという。獺祭という言葉は、カワウソには、捕ったたくさんの魚を陸に並べる習慣があり、それをカワウソの祭りに見立てたものだという。正岡子規も獺祭書屋主人という号を使っていた。
 日本酒の獺祭を作っている旭酒造は山口県の岩国市周東町獺越に本社がある。この「獺越」は「おそごえ」と読む。「獺」はオソともカワウソとも読む。周東町付近に昔カワウソがたくさん棲んでいたのではないだろうか。江戸時代には関東にも多くのニホンカワウソが生息していたのだから。この地名に因んで獺祭と名づけたと聞いた。
 だから獺沢さんの出身地もカワウソが棲んでいた地域なのかもしれないと想像したのだった。遅沢の可能性もあるだろうけれど。
 残念ながらニホンカワウソはすでに絶滅したというのが専門家の見解だ。ニホンカワウソ友の会の方が1990年代の半ば頃、当時の生息数が6頭プラスマイナス3頭と推測され、もう自然繁殖できる頭数ではないと言っていた。それからすでに20年が経っている。環境省も2012年にニホンカワウソを絶滅種に認定している。