画廊といってもいろいろな種類がある

 画廊=ギャラリーといってもいろいろある。普通、画廊というと企画画廊が代表的だ。画廊が自分のリスクで画家を選び展覧会を企画する。費用はすべて画廊の負担、絵を販売して利益をあげる。もちろん画家にも画料として還元する。
 それから貸画廊、画廊は場所を提供する。画家が画廊に1週間なり2週間借り賃を支払って展覧会をする。買い手があれば絵は販売するが、売れないことが多い。費用を自己負担して、画家は発表の場を得られる。日本独特の形式だという。
 貸し画廊と一括りするが、カルチャーセンターなどの生徒の絵を主に展示している仲良しクラブ画廊もあるし、一定の水準に達してないと貸さないと言う敷居の高い画廊もある。
 貸しも企画もしない画廊もある。常設一本槍。たいてい常連客がいて、客から依頼されて集めたり、自分の才覚で集めてそれを客に売る。これはセコンダリーギャラリーが多い。いわば中古市場の絵を扱う。中古という言い方が誤解を招くが、絵はほとんど中古品なのだ。画家から買う以外は皆これ。
 それに対してプライマリーギャラリーは画家から直接絵を買う。しばしば画家と独占契約も結ぶ。昨年閉廊したフジテレビギャラリーは野田哲也と独占契約していたし、ギャラリー白石は千住博を独占している。白石以外の画廊・画商が千住の新作を扱いたいときは、白石から購入するほかはない。
 画廊の経営者は画商だが、画廊を所有しない画商もいる。全国のデパートへ絵を卸したり、デパートの空間を借りて展覧会を企画したりする。地方に得意客を持っていて、得意先へ絵を持参して売っている画商もいる。昔は絵を風呂敷に包んで持ち歩いたので風呂敷画商などと言われた。これは蔑称だ。
 画商は前述したとおり中古品の絵を扱うことが多いので、古物商の資格が必要とされる。以前東京都現代美術館が買ったリキテンシュタインの「赤いリボンの少女」は5億円もして話題になったが、売り手は六本木の細見画廊とされていた。ここは古美術と現代美術を扱っていてユニークな画廊だった。ところがなぜか実際に扱ったのは細見画廊のオーナー個人で、細見画廊は介在していなかった。オーナー個人は古物商の免許を持ってなかったので、これが犯罪になってしまった。新聞に大きく取り上げられた。
 さて、見て歩く側としては、敷居の高い貸し画廊が一番面白い。銀座と京橋で好きな現代美術に限ってあげれば、なびす画廊、ギャラリー21+葉、フタバ画廊、藍画廊、村松画廊、ギャラリー山口、ギャラリー現、ギャラリーQ、ギャラリィK、コバヤシ画廊、ギャラリーなつか、ガルリSOLあたりだろうか。
 なびす画廊の命名者は元のオーナーの田淵安一さん、野見山暁治さんの友だちだ。ナビ派が好きだったので「なびす」だという。21+葉はギャラリー21とギャラリー葉が合併したから。ギャラリーなつかはオーナーが長束さんだ。