一流企業と中小企業の社員の違い

 以前友人のアパートが類焼したことがあった。後片づけに行ったとき、友人の会社からも若い男性が二人手伝いに来ていた。入社して何年目? と聞くとこの春入社の新人だという。落ちついていて如才ないのでまさか新入社員とは思わなかった。友人の会社はいわゆる一流企業で、なるほど一流企業にはこういう人材が集まるのだと感心した。
 私の勤めていた会社は社員20人程度で、求人に応募してくるのは全く違った人種の学生たちだった。一流企業には決して採用されないタイプの若者たちだった。バブルの頃こそ、一人も応募してこない年があったが、2000年頃にはたった1人の求人に80人もの応募があったのだ。しかしいかにも一流企業の入社試験には不採用にならざるをえないと思わせる若者たちだった。
 だから彼らに能力がないと短絡的なことを言うのではない。能力の有無はまた別のことで、一流企業に選ばれるのは礼儀正しく落ちついていて隙がない者たちなのだ。中小零細企業では。そういう性格には欠けているが、選べば能力がないわけではない若者を採用することができる。
 ただし能力はあるが癖が強く使いづらい連中なのだ。本当に使いづらいが、使いこなすことができればこれがなかなか優秀な仕事をしてくれる。
 さて、ちょっとばかり話が変わるが、日本大学の学生が面白かった。その年はいろいろな大学から全部で20人くらいの応募があったが、一番優秀な学生と一番出来の悪い学生がどちらも日大だった。学生数だけでなく、成績の幅も広い大学との印象を受けたのだった。