作間敏宏個展を見る

mmpolo2006-12-28




 作間敏宏の個展「接着/交換」を見た。銀座1丁目の奥野ビル、ここは昭和7年に建築された古いビルで、最近何度もマスコミに紹介されている。ここの3階にあるギャラリー「巷房」と地下1階の「スペースKobo & Tomo」、それに「巷房階段下」の3カ所で同時開催された。(2006年12月18日ー27日)
 まず巷房では部屋の真ん中に蜜蝋で作ったというレンガを積み上げた四角い柱が設置されている。それは西洋の城塞の一部のようにも見える。蜜蝋の匂いが強く部屋に拡がっている。周囲の壁面には何百匹ものミツバチの画像をプリントしたパネルが何枚も展示されている。パネルはよく見ると2種類あり、一つはミツバチがシャープにプリントされたもの、もう一つはわざとミツバチの画像をぼかしたものだ。
 たくさんのミツバチの画像とその中央に設置された蜜蝋の城塞。それが意味するものは社会だろう。では鮮明なミツバチの画像と不鮮明なミツバチの画像は何か? 不鮮明なミツバチの画像は社会の中で存在があやふやになっている人間たちを表しているのか。ミツバチの画像はすべて働き蜂だった。われわれサラリーマンや労働者たちが不確かにしか存在していないというアナロジーなのだろうか。作家はそのように考えているのだろうか。


 スペースKobo & Tomoの展示は、巷房と同様に中央に柱が設置してある。形も大きさもほぼ一緒だが、こちらの素材はアクリルの透明な箱で、箱の中に折りたたまれた白い布が入れてある。下着みたいなハンカチみたいなガーゼみたいな感じだ。蜜蝋の柱に比べていかにも軽そうだ。
 こちらの壁面に展示されているのはモノクロの女性のヌード写真が10枚くらいか。ただすべての画像がぼけている。作家によるとそれぞれ100人の画像を重ね合わせているのだという。匿名のヌード画像。ネットに散乱する下着をはぎ取られた匿名の女性たちのヌード画像。それを表現しているのだろうか。3階の巷房が男性でこちらが女性。


 巷房階段下の展示は、いつもの数十個の暗い電球を集めたパネル。何個かは電球が消えている。周囲の壁面には何枚もの黒いレースがゆがめて貼り付けられている。この壁面の展示の意味が分からなかった。


巷房のホームページ
http://www.spinn-aker.co.jp/kobo/sakuma.html