TOKASの太田遼展を見る

 東京本郷のTOKAS(トーキョーアーツアンドスペース本郷)で「誰かのシステムをめぐる時part2」という展覧会が開かれている(9月24日まで)。3つの階それぞれ別の展示だが、1階は太田遼の展示となっている。太田は1984年生まれ、2016年に武蔵野美術大学大学院を修了している。2022年の10月―12月に台北に滞在し、今回はその成果の発表でもある。


 作品について太田のテキストから、

台北の街で当たり前のように頻繁に見かける窓につけられた鉄柵をモチーフに作った作品。展示壁の裏にある建物本来の窓同士を繋ぐ試みである。街の鉄柵は室内の延長として窓の外に取り付けられているが、この作品では屋外の延長としてギャラリー内に作られている。

ギャラリー内の柵は、撮影セットのように表面のみが金属加工された木材で作られ裏側が剥き出しのフェイクである。


 壁面に連続して並べられた写真は、

 台北滞在中に太田が撮影した窓や鉄柵のスナップショット。風景を手に持っておきたいという素朴な欲から、現地のアクリル加工屋から購入した廃アクリル板に張り付けた写真。

 

 太田はこの鉄柵のインスタレーションを、「映画セットのように表面だけを作り込んだフェイクの構造体は、内と外、虚と実など、揺蕩(たゆた)う境界を体現した」とも書いている。

 造形的にも面白かった。

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「誰かのシステムをめぐる時part2」の太田遼展

2023年8月19日(土)―9月24日(日)

11:00-19:00、月曜休館

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TOKAS(トーキョーアーツアンドスペース本郷)

東京都文京区本郷2-4-16

電話03-5689-5331

https://www.tokyoartsandspace.jp/