東京日本橋小舟町のガルリアッシュ(H)で広瀬里美展「寄る辺」が開かれている(6月10日まで)。広瀬は1998年埼玉県生まれ、2022年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業し、現在同大学大学院美術研究科彫刻専攻に在籍中。今回が初個展となる。
広瀬のテキストはとても興味深いが、長いのでその一部を引用する。
私の彫刻に具体的な意味や理由などないが、無意味であるものが存在する意味を持てばいいと思っている。ただ存在することが許される、在るようにただ在ることが許されればいいと思っている。/寄る辺とは、身を寄せる所・頼りとする所、という意味である。/私がつくりたいものは無意味な存在の寄る辺なのだと思う。
画廊の中央に高さ172mの大きな作品が設置されている。テラコッタに油彩が施されているという。素晴らしい存在感だ。どこか人体を思わせるが、人体でなくとも有機的な存在を連想させる。
そのほかに膝丈くらいの立体が2体設置されている。こちらはより人体が強く連想できる。
壁面には円形の立体が設置されていて、中央に穴が開けられている。穴の中には何か作られているようだが、暗くてよく見えなかった。これはタイトルが「空卵」となっている。勝手に子宮を表しているのだろうかと想像した。
優れた彫刻家のデビューに立ち会うことができたという感慨を持ったのだった。
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広瀬里美展「寄る辺」
2023年5月28日(日)-6月10日(土)
12:00-19:00(最終日17:00まで)月曜休廊
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ガルリアッシュ galerie H
電話03-3527-2545
※東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅A1・B6出口から徒歩5分
東京メトロ日比谷線・都営地下鉄浅草線 人形町駅A6・B6出口から徒歩6分