東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で木村桃子展「袋を積む」が開かれている(7月1日まで)。木村は1993年東京都生まれ、2017年に武蔵野美術大学造形学部彫刻科を卒業し、2019年に同大学大学院造形研究科修士課程美術研究彫刻コースを修了している。2019年にギャラリーface to faceとガルリHで個展をしていて、ガルリHでは去年に続いて今回が3回目となる。
木村は木彫を制作しているが、ちょっとレリーフ状の作品を作っている。そして小さなピースを積み上げているような表情も特徴だ。
しかし、今回タイトルにもなっている「袋を積む」に対応する作品は何だろう。黒いビニールのゴミ袋が積み重ねられ、その上に作品を作るために切り抜いたかのような板が載っている。
木村は今年3月に研修でパリへ行ったという。その時、パリでは年金制度についてのストライキが行なわれていた。ゴミ収集業者のストライキによってゴミ箱に収まらなくなったゴミ袋が路上に積まれていった。木村は帰国後もニュースでゴミ袋が積み上げられているのを見た。木村は書く。
幾ばくか生々しさが排除された「積まれていく袋」は時間と共に立ち上がる造形物として魅力を感じ、背景にある諸問題を忘れていることに罪悪感を感じた。
「袋を積む」とは、木村のピースを積み上げたような表情の作品と、積まれたビニール袋に共通する「制作」の「核」を表しているのだろうか。
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木村桃子展「袋を積む」
2023年6月18日(日)-7月1日(土)
12:00-19:00(最終日は17:00まで)月曜休廊
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ガルリアッシュ galerie H
電話03-3527-2545
※東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅A1・B6出口から徒歩5分
東京メトロ日比谷線・都営地下鉄浅草線 人形町駅A6・B6出口から徒歩6分