赤瀬川原平『増補 健康半分」を読む

 赤瀬川原平『増補 健康半分」(デコ ライブラリー)を読む。赤瀬川が季刊誌『からころ』に連載したもの。1回分がわずか400字詰め原稿用紙2枚なので、あまり複雑なことは書けない。それでも亡くなる前年までの32回分が収録されている。

 「あとがき」に赤瀬川が書いている。

 

 この文章は、病院の待合室に置く小冊子『からころ』に「病気の窓」というタイトルで連載していたものだ。

 

 「膝枕健康法」という章がある。「このところいつも夜寝るときは、膝枕で寝ている。なかなか具合がいい」と書いている。誰に膝枕してもらっているのかと思ったら、これが違っていた。赤瀬川は腰痛持ちなのだと言う。友人が送ってくれた新聞記事によると、夜寝る時に仰向けに体を伸ばして寝るが、真っすぐ伸ばしっ放しはよくない。お尻が邪魔をして、背骨が少し反り気味になる。膝を少し曲げると、背骨が真っすぐになる。だから仰向けに寝るとき、膝の下に枕を置くといいという。試してみると、朝寝床から起き上がるとき、腰のことを忘れていた。2日目にやっと、あ、腰が痛くないと気がついたという。以来夜寝るときはいつも膝枕だと。

 すると、極端に尻が大きいホッテントット(コイコイ人)は皆腰痛持ちか、または皆横向きで寝ているのかもしれない。

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イラスト:赤瀬川原平