東京オペラシティアートギャラリーの白髪一雄展を見る

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 東京初台の東京オペラシティアートギャラリーで白髪一雄展が開かれている(3月22日まで)。白髪の作品は近年欧米で評価が高く、1点数億円で取引されているらしい。展覧会のちらしから、

白髪一雄(1924-2008)は、戦後日本の前衛芸術を牽引した具体美術協会の中心メンバーとして知られ、近年改めて国際的に熱い注目と高い評価を集めています。兵庫県尼崎市に生まれた白髪は、具体美術協会に参加する前年の1954年より、床に広げた支持体に足で直接描く「フット・ペインティング」の制作を始め、その実践と探求により、未知の領域を切り拓きました。
従来は制作の手段にすぎなかった身体運動(アクション/パフォーマンス)を、まさに画面の主役に据えるそのラディカルな方法は、既存の芸術的、社会的な常識を一気に飛び越え、人間がものを作る行為の原初にたち返る画期的なアイデアでした。具体美術協会解散後も先鋭な制作原理を貫いた白髪の作品は、空間や時間、物質や運動のなかで人間存在のすべてを燃焼させる圧倒的な力をはらんでおり、同時に、絵具の滴り、滲み、粘性や流動性、堅牢さ、といった油彩画ならではの魅力を豊かに備えています。(後略)

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 白髪は床に置いたキャンバスに絵具をぶちまけ、天井に吊ったロープにぶら下がり、足で絵具をかき混ぜて作品を作っていく。足が筆替わりになっているので、普通の筆と異なり筆触(?)が大きく幅広くダイナミックになる。足で描いた画家など白髪以前にはいなかったので、オリジナリティを至上とするアメリカで高い評価が得られた。それに伴って数億円という破格の値段が付けられた。
 今回白髪の作品をまとめてみることができた。足で描いたというオリジナリティを外すと、造形的に高いものがあるわけではない。またその展開もめぼしいものは感じられなかった。このことは白髪の創造性に関わっているとして良いだろう。
 私にとって白髪とは、奇矯なパフォーマンスで作品を制作した、そういう意味では最も具体美術協会的な作家という位置づけとなる。そして具体美術協会とは決して美術の主流ではなく、寄席の色物に近い存在ではなかったか。白髪に対する評価は具体美術協会の評価に連動し、そこからどんな意味でも突出するものではない。
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白髪一雄展
2020年1月11日(土)―3月22日(土)
11:00-19:00(金・土は20:00まで)月曜と2月9日休館)
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東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
電話03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://www.operacity.jp/ag/