ナディッフの風間サチコ展を見る

 東京恵比寿のナディッフ本店で風間サチコ展「予感の帝国」が開かれている。これは風間サチコ作品集『予感の帝国』(朝日出版社)の刊行を記念して開かれたもの。
 風間は1972年東京生まれ、1996年武蔵野美術学園版画研究科を修了している。1998年にギャラリー山口で初個展、その後、ギャラリー手、マキイマサルファインアーツなどで個展を開いているが、最近は無人島プロダクションでの発表が中心になっている。「DOMANI・明日展」に選ばれ、横浜トリエンナーレにも参加している。
 ギャラリーのホームページから、

作品集にも収録されている、原爆の図丸木美術館にて発表された大規模作品《ディスリンピック2680》(2018年)は、優生思想の歪(いびつ)さに着目した風間が、構想期間4年をかけて戦前からの関係資料を収集しリサーチを続けて制作した作品です。優生思想によって統一された架空の都市「ディスリンピア」において、皇紀2680年(西暦2020年)に開催予定の国際体育大会「ディスリンピック」の開幕式典が舞台となる本作。ディストピア的な理想国家、健康至上主義の祝祭と人類淘汰の地獄といった脅威の光景を、周到精密に描き出した超大作です。
本展では《ディスリンピック2680》を構成する2つのパート(部分)と共に、《漫画「ディスリンピック2680」》のプロローグの生原稿も展覧します。さらに、皇紀2680年までに完遂予定の〈ディスリンピック計画〉の一つ、ドローイング作品《九軍神(ディスリンピアン)シリーズ》より三選手の出場も予定しております。

 風間の技法は版画なのだが、複数作ることをしない1点もの=モノタイプだ。また、風間は現代の日本では少ない社会性を主張する画家なのだ。正面から不正を糾明する作家で、浜田知明ベン・シャーンの系譜に属するのだろう。それが社会主義リアリズム的なプロパガンダに陥らないのは風間の芸術性の高さなのだと言えるのではないか。現代の優れた画家のひとりだと思う。


「ディスリンピック2680」部分(2点とも)

その一部

「九軍神(ディスリンピアン)シリーズ」
左から「両毛超特急(9秒台orDIE)」「日出鶴丸(国民の弟)」「二条曲線(柔道双曲線)」

漫画「ディスリンピック2680」プロローグ
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風間サチコ展「予感の帝国」
2018年11月9日(金)−12月9日(日)月曜定休
12:00−20:00
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ナディッフ本店 NADiFF a/p/a/r/t
東京都渋谷区恵比寿1−18−4
電話03−3446−4977
http://www.nadiff.com
JR恵比寿駅東口を出てすぐに広い通りへ出る。信号向こうのルノアールの左をまっすぐ行くと渋谷川にぶつかる。川に沿って右折し、しばらく行くと電柱にNADiFFまで70m行って右折とか、10m行って右折などと小さな看板がかかっている。地下のギャラリーで開催中。NADiFFは昔池袋西武にあったアールヴィヴァンが代替わりしたもの。様々な美術書が並べられている書店という位置づけか。



予感の帝国 風間サチコ作品集

予感の帝国 風間サチコ作品集