MAHO KUBOTAギャラリーの安部典子展を見る

 東京渋谷区神宮前のMAHO KUBOTAギャラリーで安部典子展「日々変容するカッティングの連続」が開かれている(7月30日まで)。安部は1967年、埼玉県生まれ。1990年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業している。1992年にギャラリーQで初個展、その後ギャラリーなつか、J2ギャラリーなどで個展を行ってきた。2004年よりニューヨークにスタジオを構え、アメリカをホームグラウンドにして、ニューヨークやテキサスなどのギャラリーで個展を重ねている。2011年には上野のSCAI THE BATHHOUSEでも個展をしている。


 今回画廊に足を踏み入れると、正面に長い帯状のものが展示されている。何だか分からなかったが、とても魅力的なものに見えた。近づいてみて、さらに説明を聞くと、これはファザール・シークという写真家の『Desert Bloom』という写真集を解体して作ったものだという。写真集はイスラエルの砂漠地帯を空撮したもので、非イスラム世界がイスラム世界との間に抱えている緊張感を表しているらしい。安部は写真集を解体し、すべてのページにカッターで薄い傷をつけ、ページをつないで帯状にしている。この展示形態が見事だと思った。




 また、紙を1枚1枚鋭いカッターで精密にカットし、それを何百枚も、時には千枚単位で重ねて、立体作品やレリーフ状の作品を作っている。会場には中心がえぐられたような本や、ユポで作られた彫刻作品などが展示されている。ユポは最近選挙の投票用紙にも使われているが、紙と違って水を通さない化学合成紙なので、風呂で見る絵本なんかにも使われている特殊な紙だ。
 会期が長いので、一度見に行かれることをお勧めする。
       ・
安部典子展「日々変容するカッティングの連続」
2016年6月24日(金)−7月30日(土)
12:00−19:00、日曜・月曜・祝日休み
       ・
MAHO KUBOTAギャラリー
東京都渋谷区神宮前2-4-7
電話03-6434-7716
http://www.mahokubota.com
※ギャラリーは、東京メトロ銀座線の外苑前駅3番出口を出て、青山通りを渋谷方向に進み、南青山3丁目の交差点を右折、外苑西通りを進む。途中ワタリウム美術館があるがそれを通り過ぎ、神宮前3丁目交差点を右折、まもなく熊野神社があるのでその手前を左折して、最初のT字路を左折すると看板が見える。外苑前駅から徒歩6分。