トキ・アートスペースの羽田雄貴展を見る

 東京神宮前のトキ・アートスペースで羽田雄貴展が開かれている(3月24日まで)。羽田は1986年愛知県生まれ、2011年に武蔵野美術大学大学院造形研究科日本画コースを修了している。2011年にアートスペース羅針盤で初個展だったが、それ以来の個展になる。グループ展では2012年の「座の会」発足より毎年O美術館等で発表してきた。

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 羽田は日本画出身だが、立体を制作している。3つの壁面に細長い棒状の立体が24本をひと組にして3組展示されている。黒いものは薄い金属をV字型にして、黒く塗った紙を貼っている。白っぽいのは2組ともパネルに銀箔と墨を塗り胡粉か何かを重ねている。
 3組の作品はそれぞれ24本がよく似ているが同じ順番で再現できるように後ろに番号を振っているという。つまり羽田にとっては順不同に並べているのではなく、順番には意味があるようだ。ミニマルに装っているが、表情がないわけではない。あるいはミニマルではあるが、それに徹することはしていない、と言おうか。
 見れば単純に美しい。トキ・アートスペースの旗竿のような特殊な空間の使い方も上手だと思う。

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 そのほか、手前に置かれた台の上には三角屋根型の小さな立体が12個並べられ、壁面にはパネル状の正方形の作品が10点、黒く塗った紙を薄い金属板に貼った正方形が3枚展示されている。
 2012年のアートスペース羅針盤での初個展は平面の日本画だったようだから、立体というかレリーフ状の作品の個展は初めてということになる。昨年の「座の会」展は見に行っているが、羽田の良さに気づかなかった。個展というのは作家の特質がよく分かる場なのだろう。久しぶりに優れた新人に出会えた気がする。
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羽田雄貴展―tempestas―
2019年3月18日(月)-3月24日(日)
12:00-19:00(最終日17:00まで)水曜休廊
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トキ・アートスペース
東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F
電話03-3479-0332
http://tokiart.life.coocan.jp/
地下鉄銀座線外苑前駅から徒歩5分ほど