NHK日曜美術館で遠藤彰子特集を見る


 NHK日曜美術館で「巨大な絵画にこめたもの〜画家・遠藤彰子の世界〜」を見た(10月14日)。遠藤は1947年に東京中野区に生まれた。1986年に安井賞を受賞している。番組では、日本を代表する画家だと紹介されていた。30年前から高さが3メートルを超えるような巨大絵画を作っている。今回も海外から取り寄せたという500号のキャンバス2枚を合わせた作品を描くところを経時的に追っていた。
平塚市美術館の館長代理土方明司氏が遠藤を高く評価しているが、それは本音ではなくサービストークの類いだろう。遠藤の作品はほかであまり見ないくらい巨大なものだけれど、それがさして面白くない。大きいというだけでそこにどんな意味があるのだろう。大きいだけあって細部が粗いし、人物もマンガのようだ。大きい絵画が無意味なわけではない。キーファーの巨大絵画はその大きさを説得させる内容がある。
遠藤は幼い子供の病気を機に現実と向き合い始め、そして現代の社会の姿を映し出したいと思うようになったという。私には現代の社会の姿というよりファンタジーの世界を描いているように見える。
遠藤が巨大絵画を志向することは正しい選択をしているとは思えない。ただ大きい作品を作ることで自分の作品のつまらなさをごまかしているのではないのだろうか。