d-labギャラリーのこづま美千子展を見る

 埼玉県入間市のd-labギャラリーでこづま美千子展が開かれていた(2月4日まで)。こづまは1963年東京生まれ。1987年に多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。1984年から個展やグループ展で発表を続けている。1988年ホルベインスカラシップ奨学生、2004年文化庁新進芸術家国内研修員。
 こづまは知の人でもある。それが個展のちらしに書かれた文章に表れている。

子供の頃、空を見上げ、雲を陸に青空を海に見立てて遊んでいた。学生になって万葉集の中に同様の歌があるのを見つけ、古と体の中でつながったような不思議な感覚があった。
 美術を志し、そこそこ発表も続けてきた頃、自分が景色の中の様々な形を用いて複数の時間や空間を一枚の絵のなかに表現しようと試みていた方法のひとつと、ほぼ同じものが日本美術における「すやり霞」や「金雲」というモチーフとして既に確立していたことを知り、勉強不足を反省しつつも、自らそこに辿り着いていたことが嬉しかった。
(中略)
 風景をよりどころに天と地を繋ぐような高さのある絵画空間を創り、それが見る人の時空を超えた何らかの記憶や感情を刺激して、次の何か前向きな心持ちの一助となるような仕事がしたい。







 自作について「景色の中の様々な形を用いて複数の時間や空間を一枚の絵のなかに表現しようと試みていた」と明確に書いていて、こづまの作品に表れている不思議な空間を自解してくれている。こづまの作品には風景が描かれているが、その空間構成が不思議で、それが魅力的だった。柔らかい色彩も心地よいものだ。
 私は最終日に画廊を訪ねたので紹介が遅れてしまった。d-labギャラリーは西武池袋線入間市駅から徒歩10分ほど。5年ほど前に開廊したという。AとBと二つの展示スペースがある。近くにジョンソンタウンというアメリカの街を再現したテーマパークがあるというが行かなかった。
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こづま美千子展
2018年1月25日(木)―2月4日(日)
11:00−18:00(会期中無休)
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d-labギャラリー
埼玉県入間市豊岡5-2-15 101A/B
電話04-2966-1091
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