うしお画廊の淀井彩子展を見る

 東京銀座のうしお画廊で淀井彩子展が開かれている(6月24日まで)。淀井は1966年に東京芸術大学美術学部油画科を卒業し、1968年に同大学大学院油画専攻を修了している。その後フランス政府給費留学生としてパリに留学。2011年まで青山学院女子短期大学芸術学科教授を勤めていた。1971年にみゆき画廊で初個展、2012年には横須賀美術館で個展を開いている。
 DM葉書に淀井の言葉がある。

2010年代以降の作品の個展には/何処か遠い処、見知らぬ土地への誘いがある。/繰り返し描いてきた画面に絵画の要素が新たに組み入れられ/新しい構図の絵が生まれてくる。/新しい形と未知の風景に向かって。

 このたび淀井が作品集『土地の名・土地の色・土地の時間』を出版した記念展だという。また世田谷美術館では「ミュージアムコレクション! 淀井彩子と淀井敏夫―それぞれのふたり―」が開かれている(7月2日まで)。





 今回の作品は共通して「風景」という題名が付けられている。見ているとどれも川の流れる土地を俯瞰したように見える。日本人離れした大きな風景だ。高村光太郎がパリから帰ってきたとき、日本を評して根付のような国という詩を書いたことを思い出した。淀井はその根付とは真逆の画面を作っている。たっぷりと大らかでゆったりとした気持ちの良い風景だ。これらを見ていると小さな悩みやつまらぬ心配事など忘れてしまいそうだ。
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淀井彩子展
2017年6月12日(月)−6月24日(土)
11:30−17:30(最終日17:00まで)日曜日休廊
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うしお画廊
東京都中央区銀座7-11-6 イソノビル3F
電話03-3571-1771
http://www.ushiogaro.com/