呉座勇一『応仁の乱』(中公新書)を読む。昨年10月に発行されたが、またたくうちにベストセラーになり、もう30万部ほどは出ているのではなかったか。たとえ新書だとはいえ、どうしてこんなに硬い歴史の本がそんなに売れているのか。
大澤真幸が朝日新聞に書評を寄せている(2月12日)。応仁の乱の原因は何か、誰と誰が何を賭けて戦ったのか、誰が勝ったのか、本書が教えてくれる、と。
けっこう学術的なこんな本がよく売れることに、ふしぎを感じる。が同時に、多くの読者をもつに値する本だとも思う。めちゃくちゃ錯綜した経緯をおもしろく飽きさせずに読ませてしまう著者の筆力は半端ではない。中世史学者としての独自説もたくさん提起される。
で結局、応仁の乱とは何なのか。本書から私が学んだことはこうなる。それは、かつて一度は成立した、天皇・公家と武家の間の、京都と地方の間の奇跡のバランスの最終的な破綻の現れだった。次のバランスを模索する過程が戦国時代になる。
いや、そんなに簡単に読めたわけではない。だいたい300ページもあり、巻末の人名索引には500人前後が並んでいる。毎ページごとに1人半ずつ新しい人物が登場するのだ。人間関係も錯綜していて、メモを取らずに読んだから結構ごっちゃになった。登場人物の多さからも、歴史をていねいにたどっていることが分かる。それだけにその煩雑さに混乱してしまう。
もっと登場人物を絞って大まかな概略を示してくれればよかったのに。または、章ごとにレジュメを付けてくれるとか。専門書ではなく新書なのだからと内心ぶちぶち言いながら読み終わったのだった。

- 作者: 呉座勇一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/10/19
- メディア: 新書
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