『ビゴー日本素描集』を読んで

 清水勲 編『ビゴー日本素描集』(岩波文庫)を読む。先日続編を読んだので、今回正編を読んだ。ビゴーはフランス人で、明治15年に来日し、18年間の滞日中に数多くの雑誌や画集を出版した。その中に多くの素描を描いている。「東京・神戸間の鉄道」から、


 前日、午後6時に新橋を出発した夜行急行の神戸行きは朝7時40分に彦根に着く。ここで約1時間停車し8時に出発する。この間に旅客は顔を洗い、用便に行き、朝食をとる。(中略)
 ビゴーは日本人の洗顔スタイルを実によく観察している。指で歯をみがく、腰をかがめて片手手拭いで顔をふく、上半身をはだけて顔を洗う、などその特徴をうまく整理して1枚の絵にまとめている。


 次は「芸者の一日」から、芸者が身を売るシーンを生々しく描いたビゴー得意ののぞき見スケッチ。左の男女の台詞は「オー可愛い、可愛い」、右は「アーよかった、忘れない……」。

 ついで「娼婦の一日」から、朝の洗顔スケッチ。日本女性は上半身をはだけることに何も羞恥心を抱かないことがビゴーには興味深かったのだろう、と清水が書いている。

 最後に「女中の一日」から、仕事が終わって入浴の時間がやってきた。この娘はまだ10代後半のはずだ。明治の日本の女性たちはなんてスタイルが悪かったのだろう。
 正編、続編と読んでみて、続編の方がおもしろかった。なぜだろう?


『続ビゴー日本素描集』を読んで(2014年10月5日)