「悩みのるつぼ」で明解な回答をする美輪明宏

 

 朝日新聞の「悩みのるつぼ」で50代の女性が「年下の男性を好きになりました」と美輪明宏に相談している(7月6日朝刊)。美輪の回答が明解で素晴らしい。その相談から、

 夫とは結婚25年、子供がいます。いい年をして、職場の男性を好きになってしまいました。
 彼は30代、結婚しています。初めは憧れのアイドルに会えるような気持ちでした。平凡だった毎日は、彼のおかげでとても楽しくなりました。彼の人となりを折に触れ感じることで、恋に変わってしまいました。
 もちろん相手は私の気持ちを知りませんし、今後も伝えるつもりはありません。なにも相談するようなことではないと言われてしまいそうですが、その人のことを思うと心がつぶれ涙が自然とあふれ出し、どうしようもない絶望感に襲われるのです。若い頃の片思いと違うのは、なにも希望がないということです。今日は話せた、話せなかったで一喜一憂し、他の女性と話しているのを見ただけで心が泡立ちます。
 また彼に少しでも若く見られたいと美容やダイエットに励み、おしゃれをする。それが楽しみになっているのも、もう一人の私です。(中略)
 美輪さん、私は恋をしていていいのでしょうか?

 美輪が答えて言う。

 50歳を過ぎて、まだ子どもの寝言のようなことを言って、恥ずかしくないんですか? まったくあきらめが悪い。人間は40代、50代、60代……と年齢に応じた自覚が必要なのに、相談者にはそれがまるでないようです。こういう人が最近では少なくありません。
 まずは身の程を知ることです。ばあさんになったという覚悟を決めて、そんな自分の身の処し方と向き合うことが必要です。
 相手の男性からすれば、まったくいい迷惑でしょう。いい年をして、ただの気味が悪いオバサンでしかない。それに相手は既婚者です。他人の持ち物です。不心得も甚だしい。(中略)
 灰になるまで性欲が衰えないのが女のさがというのですから、夫との仲が冷え切って寂しいのでしょう。でも加齢臭がする同世代は嫌で、若い男性に相手をしてもらいたい。気持ちはわからなくもありませんが、どうしようもないですね。(中略)
 相談者の文面には、家族に対して感謝の言葉が一つもありませんね。(中略)ストーカーになるのはみっともないことです。(後略)

 突き放してにべもない。相談者は立つ瀬がない。丸山を恨むのではないか。私が回答者だったら、もう少し相談者の身に寄り添った回答をしてしまうだろう。だが、美輪が圧倒的に正しい。当然こう答えるべきなのだ。まさに「ばあさんになったという覚悟を決め」なければいけないのだ。まさか私が若い女性に恋をすることなど断じてありえないが、じいさんになったという覚悟は決めなければいけないと自覚させられたことだった。美輪さんカッコいい!