「悩みのるつぼ」で40代女性が離婚して恋をしたいと相談している(朝日新聞、2017年4月8日)。
相談者 女性 40代
48歳女性、現在、離婚に向けて夫と別居しています。
詳細は省きますが、理由はお互いの浮気とか借金問題ではありません。
今、一番私が困っているのは「恋がしたい」ことです。(中略)
とはいえ結婚はこりごりなので、婚活パーティーや相談所に行って結婚する気などさらさらありません。地域のサークルなどで知り合うのは、後々面倒なころになったら嫌なのでごめんです。仕事の休みの日に、少しおしゃれして食事をしたり、映画をみたり、小旅行に出かけたりするパートナーがほしいのです。(後略)
上野千鶴子が回答している。わざわざ「浮気や借金問題ではない」と書いているところから、我慢の緒が切れるような何か決定的な離婚原因があったわけではないと言いたいのだろうと。その分だけ半世紀近く生きてきて、不全感に悩んでいるのだろうと。
そこまではわかります。結婚はこりごり、も賢明です。が、その不全感をチャラにするのが、恋愛ですか。20代のギャルからの質問じゃあるまいし、いい年齢の大人の女の悩みとは思えません。
恋愛ってしたことがないんですか。(中略)恋愛が人生を変えるなんて、小娘のような妄想をまだ持っているんですか。
よく読むと、ほしいのは「休日におしゃれをして食事や映画に出かけ、小旅行する」程度の相手。これならつつましい望みです。そんなものを恋愛とカン違いしてはいけません。恋愛とはもっと自我に食い込む闘いです。欲望やエゴイズムなどがむき出しの、食ったり食われたりの関係を、今になって味わいたいのですか?
(中略)
そんな恋愛で何もかも人生をリセットしたいという妄想を抱いているのでなければ、この程度のつつましい望みは、いくらでもかなえたらいいでしょう。友達以上恋人未満の異性をキープしておくことぐらい簡単です。え、どうすればいいですかって? 自分から誘えばいいんです。断られてもめげずに、あるいは断られたら次、また次と声をかければ。おつきあいしたければまめでなくては。その点、もてる男性はほんとにまめですね。
再婚する気がないのなら、未婚の男性に限る必要もないでしょう。かえって既婚男性の方が、ナンバー2以下でいられて安心です。(後略)
「おつきあいしたければまめでなくては」とは金言だろう。容貌とか才能なんぞは努力で変えられないのだから、ひとえに「まめ」ですよ。
以前、雑誌『Weeklyぴあ』の投稿欄「はみだしYOUとPIA」に、女性の投稿で、自分は特別きれいではないけれど、知り合った男たちに片端から声をかけて付き合った、結果いい旦那さんにも恵まれて幸せな結婚をしているというものがあった。「まめ」に尽きる。容貌にもお金にも縁のない私でも結婚して子供を得ることができたのだから。