ジャコメッティと石井好子

 以前「開運! 何でも鑑定団」にシャンソン歌手の石井好子ジャコメッティのドローイングを出品した。それは本物で2,000万円の鑑定が付いた。石井好子は、ジャコメッティからはマケットもくれると言われたが断ったと言って、もらってたら今はいくらになっていますかと訊いた。鑑定士永井さんの回答は2億円だった。(マケット=模型。特に、彫刻の試作のための雛型)
 石井好子のもらったドローイングは、2006年に開かれた神奈川県立近代美術館葉山館でのジャコメッティ展に展示されていた。石井はジャコメッティに対しては親しい友人という立場で、まさかこんなにメジャーな彫刻家として評価されるとは思ってもみなかったんだろう。何しろ2年ほど前、ドイツの銀行が持っていたジャコメッティの彫刻がオークションに出されて、1点でたしか百数十億円の価格が付けられたのだった。
 それで思い出すのは、1994年に東邦画廊で山本弘素描展が開かれたとき、飯田市の医者鮎沢尚齢氏が来られ、俺も弘のスケッチブックを3冊持っていたよと言われた。この時東邦画廊ではスケッチブックに描かれたドローイングを1枚15万円前後で売っていた。先生、そのスケッチブックはどうされましたかと訊ねると、引越の時に邪魔になったので捨てたよとの答えだった。山本弘の素描を評価して購入したのではなく、困っていたから助けてやったくらいにしか考えてなかったのだろう。石井好子ジャコメッティは友人関係だった。山本弘と鮎沢さんは何関係だったのだろう。


山本弘「裸婦」の素描(2012年12月26日)