片山杜秀『クラシック迷宮図書館』を読む

 片山杜秀『クラシック迷宮図書館』(アルテスパブリッシング)を読む。本書は、雑誌『レコード芸術』に連載した「この本を読め!」をまとめて単行本にしたもの。音楽書の時評という類書のない企画だ。74冊が紹介されている。時評という性格のため、種々雑多で玉石混交の音楽書が集められた。下嶋哲朗『謎の森に棲む古賀政男』には、演歌の作曲家が実は右翼で、戦前、日本政府のスパイとして渡米し、日米開戦のあかつきには日系二世にテロ活動をやらせようと工作していたらしい、など過激なことが書かれていたり、アドルノアドルノ 音楽・メディア論集』などというアカデミックな本が取り上げられたりしている。
 私は本書をブックガイドのつもりで読んだのだが、あまり魅力的な本は紹介されていなかった。面白そうだと思った最相葉月絶対音感』、青柳いづみこ『翼のはえた指』はすでに読んでいた。
 片山杜秀の『音盤考現学』『音盤博物誌』『近代日本の右翼思想』『未完のファシズム』はどれも面白かった。片山杜秀の本職は政治思想史研究者なのだ。


片山杜秀『未完のファシズム』を読んで(2012年7月16日)
片山杜秀の辻邦生論(2009年5月1日)
片山杜秀「音盤考現学」が面白い(2009年4月12日)
片山杜秀「近代日本の右翼思想」(2008年4月24日)


片山杜秀の本 3 クラシック迷宮図書館

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片山杜秀の本(1)音盤考現学 (片山杜秀の本 1)

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片山杜秀の本(2) 音盤博物誌

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近代日本の右翼思想 (講談社選書メチエ)

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未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)

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