山本弘「裸婦」の素描


 山本弘の素描「裸婦」。これが東邦画廊で発表されたとき、ワシオトシヒコが公明新聞(1994月8月13日)に展評を書いてくれた。

決して安易に感傷に溺れることなく、どこまでも、全身に知情意を内包しながら、男くささを発散させる油彩に対し、素描は一見やさしげだ。だが熟視すると、どの線も意志的で、力強い。とりわけ裸婦について述べると、曲線以上に直線を重視し、きわめてデフォルメが大胆だ。そのくせ、画面全体の空間性を壊さない、特異な線の運動となっている。

 わずかばかりの鉛筆の線で描かれた裸婦だ。ワシオに「特異な線の運動となっている」と評価された。とても嬉しい。