山本弘の素描「裸婦」


 山本弘の素描「裸婦」。230mm×320mm、紙に鉛筆で描いている。いつぐらいに描かれた素描なのか。おそらく35歳以後、脳血栓を患って手足が不自由になってからのものだ。
 でも、これを見ると不自由な手とは何だろう。背中から尻にかけての1本の線が見事な量感を表している。お腹にあたる短い線もたった1本で女性の身体を描き出している。
 モデルは誰だろう。山本弘は映像記憶が優れていたので、目の前にモデルを置かなくても記憶だけで見事に再現できた。映像記憶の優れた画家といえば山下清を思い出す。山下は放浪して帰ってきたあと、何年経っても気に入った場所を繰り返し正確に描くことができたという。山下清ほどではないが、おそらく山本弘も優れた映像記憶によって、現前しない映像をやすやすと再現できたのだろう。
 この作品も、まもなく7月15日から7月21日まで銀座のギャラリー403で開催する「ドローイングと油彩小品による−山本弘展」に出品する予定。
       ・
ドローイングと油彩小品による−山本弘
2014年7月15日(火)〜7月21日(月・祝日)
12:00〜19:00(最終日17:00まで)日曜日休み
       ・
ギャラリー403
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
電話03-3535-5733
奥野ビルは戦前建てられた古いビルで、現在画廊が30軒以上入っている銀座の名物ビルになっている。エレベーターは手動式。