酒匂譲展が開かれている!


 東京銀座6丁目のみゆき画廊で酒匂譲展が開かれている(2月4日まで)。酒匂は1930年鹿児島県生まれ、1953年に東京藝術大学油絵科を卒業し、1955年に同専攻科を終了している。はじめサヱグサ画廊で個展を開いた後、パリで個展をし、1976年からはこのみゆき画廊で毎年個展を開いている。長く東京家政大学で美術を教え、現在そこの名誉教授となっている。





 見てのとおり色彩が美しい。絵の具をほとんど混ぜないで使っているという。ここ3年ほど体調を崩していると言い、だからこれらの作品も数日で描き上げたという。その作品なんか20分で描いたよと言われる。
 そんなことができるのも酒匂が天才タイプだからだ。若い頃からスラスラと描けて努力がいらなかったのではないかと推測する。色彩に関しては根っからのカラリストだ。まずほとんどの画家が太刀打ちできないだろう。
 本当に実力のある画家なのだが、実力に見合った知名度がないのはなぜか? 酒匂が無欲なせいも大きいと思う。かつて詩人の田村隆一がエッセイ集『詩人の旅』(中公文庫)で、わが師山本弘の友人画家関龍夫について言った「開善寺のほとりに住む無欲にして高潔なる老画伯の、まるで庵室のようなアトリエへ行ってみよう」の「無欲にして高潔なる老画伯」が酒匂にも当てはまるのではないか。いや、現在81歳とはいえ、酒匂に「老画伯」のイメージはない。不思議と若々しいのだ。
 毎年1月末から2月初めはみゆき画廊で個展が開かれる。個展を見られるのも酒匂先生に会えるのもとても楽しみだ。

みゆき画廊の酒匂譲展は見逃せない!(2011年1月26日)
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酒匂譲展−油彩・水彩−
2012年1月30日(月)−2月4日(土)
11:00−19:00(最終日17:30まで)
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みゆき画廊
東京都中央区銀座6-4-4 銀座第二東芝ビル2階
電話03-3571-1771
http://miyuki-gallery.com/