自費出版図書館

 昔別れて音信不通になっている友人をGoogleで検索したら、1件ヒットした。詳しく調べてみると「自費出版図書館」の蔵書索引だった。蔵書の1冊に北海道常呂高校図書館部の文集が収蔵されているらしい。昭和39年(1964年)に発行され、友人は『「走れメロス」を読んで』という題名で読書感想文を書いている。早速この自費出版図書館を訪ねてみた。
 それは地下鉄半蔵門線水天宮駅のすぐ近くにあった。蔵書数は4万冊近くと小規模で、貸出料は240円と480円の2種類(本によって異なる)。
自費出版図書館 http://library.main.jp/
 ビルの1フロアーで開館しているが、ユニークな図書館だと思う。自費出版物だけを集めているという。個人で経営しているようだが採算がとれているとは思えない。広く寄贈を求めていると言っていた。
 早速友人の作文のコピーを入手した。彼が網走市出身ということは知っていたが、常呂高校出身とは知らなかった。高校生の頃の作文を私に読まれたと知ったらどんなに恥ずかしがることか。この常呂という地名は司馬遼太郎の「街道をゆく・38巻・オホーツク街道」(朝日文芸文庫)に頻出する。

 私は、常呂(ところ)にいる。
 常呂川という、オホーツク海にそそぐ一級河川の河口の遺跡をたずねようとしている。
 河口にいるかぎり、常呂は町らしい集落が見あたらない。
 むろん、この町には道立常呂高校もあり、すでにふれたように、ホタテ貝の養殖で繁盛してもいる。しかし、辺鄙さには、かわりがない。

 いつか網走市常呂を訪ねてみたい。

街道をゆく 38 オホーツク街道 (朝日文庫)

街道をゆく 38 オホーツク街道 (朝日文庫)