デパートの画廊の位置づけ

 デパートの画廊担当だった方から話を聞いた。元来デパートは金持ちの客を相手にしていた。それが現在は大衆を相手に商売をするようになった。現在の客、大衆がデパートへ絵を買いに来るのは、空いている壁に掛けるための絵を買いに来る。つまりはインテリアを求めている。絵が好きで買いに来るのではない。だからデパートでも商品としての絵の位置づけは、たかだかその程度にしかすぎない。ところが多いときは日本の絵の総売上の7割をデパートが占めていたという。
 絵がデパートで売れる理由は、安心できるからだろう。普通の人にとって馴染みの画廊なんてあるわけがない。画廊に親しんでいる人は少ないだろう。変な画廊に入ってしまって高い絵を売りつけられるのではないか。買わないと帰してもらえないのではないか。そんなことを考える人もいるらしい。それに対してデパートは何と言っても信用できる。デパートが絵の値段を吹っ掛けることはないだろう。それでデパートへ絵を買いに行くのだ。
 インテリアではなく、美術としての絵を買いたいのなら画廊へ行くのが良いだろう。しかしどの画廊でもすべての画家の絵が買えるわけではない。野見山暁治の作品ならギャラリー山口か、みゆき画廊、千住博なら白石画廊か永井画廊など。
 デパートで現代美術に力を入れているところは高島屋だ。日本橋と新宿でそれぞれ現代美術の企画展をやっている。とてもすばらしいことだ。しかしながら、新宿高島屋が松山賢個展をした時、このおっぱい大好きな画家におっぱいを禁じたらしく、少女とカブトムシとか風景とか、これが松山賢個展? と古くからのファンを驚かせた。