新しい性道徳

 若い人たちの性道徳が変わってきているという。単純に言えば性行為が何ら特別なことでなくなってきている。簡単にそのような関係を結びまた別れている。それは私たちの世代から見たら乱れているという意見が強いだろう。
 それは違うと思う。性道徳は世代によって変わるものなのだ。私たちだって親たちからみたら乱れていたと思う。当時「婚前交渉」という今から見たら化石のような言葉があった。結婚前の性交渉をこう呼んだのだ。親の世代は結婚するまで性交渉はするべきではないと思っていたから。
 しかし、いつの世も新しい性道徳は新しい世代が作り、それが次の世代の標準となるのだ。仮に私たちがそれに不満でも昔に戻すことはできない。受け入れるべきなのだ。


 知らんぷりしてさらりと書くのだが、吉行淳之介は「砂の上の植物群」を書くまで読者は3,000人だと言っていた。初版の数がそうなので、増刷はなかったということなのだろう。それが「砂の上の〜」がベストセラーになったのだ。当時としては過激な性描写が「大衆」の興味を惹いたのだ。縛った姉をこれも関係を持った妹に見せたりしている。それは現代でも過激なのだが、ラブホテルではなく当時の連れ込み旅館では風呂が併設されていなかったのか、する前に入浴とかシャワーを浴びる描写がないのだ。ここ40年で技術もいろいろ変わったのだと思う。もう亡くなったが岩波新書で「認識とパタン」などの著書があるハワイ大学の物理学の渡辺慧教授はカタカナ英語が嫌いで、エネルギーでさえ勢力と言っていたという。