連城三紀彦を読む

 連城三紀彦「少女」(光文社)を読む。連城を読んだのはこれが初めて。本書は短篇集で、「熱い闇」「少女」「ひと夏の肌」「盗まれた情事」「金色の髪」の5編、二十数年前の「小説宝石」に載ったもの。すべて二つの要素から成り立っている。少女売春や未亡人との情事、雑誌で募集していた夫婦との性行為、スワッピングなどの風俗的エピソードと、構造としてのどんでん返し。読んでいるうちは面白いのに、読み終わったあと何でこんなもの読んだのかという虚しい思い。
 針生一郎さんが、東山魁夷の絵について「美味いが腹にたまらない」と言ったが、連城三紀彦にもこれは当てはまると思う。
 それなりに人気があるようだ。どんな人がどういう気持で読むのだろう?