男と女の流行感覚の大きな違い、その他のことども

 以前クライアントの依頼で女の子を使ったポスターを作ったとき、予算がなかったので有ネガを使った。有ネガというのは、カメラマンがあらかじめ撮影した写真をフォトエージェンシー(写真貸出業者)に預けてあるもの。ネガといいながらすべてポジ(最近はデジタルも)だ。それを借りてきて印刷物などを作成する。利点はわざわざ撮影するよりも安いこと、季節はずれの写真が手に入ることなどだ。
 そうして借りてきた何枚もの写真をクライアントに提案し、その中から1枚が選ばれた。その担当者が通りかかった女子社員を呼び止めて、今度のポスターはこの子にしたよと話すと、あらこの子の口紅5年前のものよと言われた。口紅じゃなくリップと言ったのかもしれない。フォトエージェンシーに確認すると、まさに5年前に撮影された写真だった。女性の流行感覚恐るべし!
 デパートの靴売り場を見ていたら、結構な靴が半値になっている。どうしてこんなに安いのか売り場の店員に尋ねると、これ去年のモデルですから。と言ったって紳士用の黒いビジネスシューズだ。こんなものに今年のモデルとかデザインがあるなんて知らなかった。ほとんどの男たちは知らないだろう。早速半値で1万円というその靴を買った。
 後日街角の靴磨きにその靴を磨いてもらったら腕がいいのかぴかぴかになった。よく光りますねえというと、革が良ければもっと光るよ。口の悪い靴磨きのおじさんで、たまに3千円くらいの安物の靴を磨いてくれと言われることがあるが、どんなに磨いても光りゃしない、あんなの靴磨き代がもったいないから磨かないで履きつぶしゃあいいんだ。女も靴を磨いてくれと言って来るが、ああいう女は家庭的にだらしがないんだと言いたい放題だった。ちなみに日本橋高島屋脇の靴磨き代600円、東京駅前と有楽町の高速道路のガード下ともに500円。600円じゃあお釣りが大変だろうと言う、いろんな視点があるものだ。