これでいいのか、群馬県立近代美術館

mmpolo2007-01-25




 数年前、知人が群馬県立近代美術館の企画展に、所蔵する作品を貸し出したので一緒に見に行こうと誘ってくれた。元練兵場だった前橋の広大な公園に建てられている美術館は30数年前完成したときに建築学会賞に選ばれた。設計者は磯崎新だ。みごとな美術館。
 学芸員と話をした。こちらの美術館は作品を何点くらい所蔵されているのですか? 約300点です。それも、版画なんかは何枚もが一組ですね、それを1枚1枚数えてやっと300点です。
 驚いた。私立の大川美術館だって3,000点は所蔵しているはずだ。銀座を回っている某コレクターだって、1,000点は持っていると言っていた。それなのに県立美術館でたった300点。さらに、大きな作品は群馬県出身の画家(福沢一郎、山口薫など)から寄贈していただいたものです、と。
 群馬県人である知人が、それなら広く県民に呼びかけて寄贈してもらえばいいではないかと提案した。いいえ、寄贈を申し出られても受け取りに行く運送代の予算がないのです。美術館まで届けてもらうのが前提なのです。どうしてもほしい作品は、企画展などで集めて回るときに大回りして頂いてくるのです。
 要するに群馬県というのはハコものを作るだけの行政なのだ。それで、去年だったか群馬県は第二近代美術館を作ったらしい。
 初代の近代美術館の玄関脇に池があり、そこに宮脇愛子の大きな針金の彫刻が設置されている。宮脇は磯崎新の奥さんだし、たぶんこの彫刻も美術館が購入したのではなく、建築会社が寄贈したものなのだろう。建築会社が施工したビルの玄関に大きな絵を寄贈する日本の商習慣に従って。