本当の画像検索は何か

 画像検索という概念がある。実際はどうか。タグ=言葉で検索するしかない。それは本当の画像検索ではない。
 10年以上前に全農(全国農業協同組合連合会)の依頼を受け、農作物の病害虫の画像データベースを作り、画像検索をして病害虫の診断ができるプログラムを提案してくれと言われて調査したことがある。その時画像データベースに関するシンポジウムに参加した。パネラーは博物館や美術館の学芸員が多かった。
 まず画像検索は難しいという報告があった。インドの古い街角の写真を提示して、この写真から人によって様々な情報を得ることができる。ある人は過去のインド人の服装を見るだろうし、ある人はそこに写っているリキシャ(人力車のこと)に注目するだろう。別の人は背景の古い駅舎に関心を持つかも知れない。画像のすべての意味にタグを付けることは不可能だ。
 アメリカの事例が紹介された。横に1本の線を引き、その線に接して右側に縦線を引いた。地面に1本の木が立っている絵をこれによって検索するのだという。確かにこの方法こそ正しい意味での画像検索だ。とは言え、あまりにも幼稚で実用にはほど遠い。パソコンが普及し始めた頃(当時はパソコンだけではなく、マイコンマイクロコンピューターという言い方もされた)のBasic言語みたいなものだ。
 しかし画像検索は実用化されるだろう。そう思うのは人間は画像検索をしているからだ。昨年は芸術選奨をもらった画家の和田義彦の贋作が発覚してその賞が取り消されたことが話題になった。新聞雑誌ネットがイタリアの画家アルベルト・スーギ和田義彦の絵を並べていた。誰が見ても酷似していて贋作は明らかだった。これを作るべきなのだ。似ている画像を検索するシステム、もうGoogleは作り始めているのかもしれないが。
 
 以下は以前書いた画像検索に関するブログ。しかしこれは実際には人力検索と名前による検索でしかない。
 12月5日の日記
http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20061205