東京国立近代美術館の常設展を見る

 東京国立近代美術館の常設展『MOMATコレクション』を見る。山下菊二の「あけぼの村物語」が展示されていた。プレートの解説文が興味深かった。誰が書いているのだろう。

この作品は、山梨県で実際に起きた事件が主題です。3つの消失点に対応しつつ、場面は概ね4つに分けられます。画面右から、銀行倒産のために自殺した老婆とその孫娘、農道敷設によって自分の麦畑が潰されたことに抗議する村娘、地主への抗議及び襲撃の先導に立った人物を背負籠に入れて運ぶ男、そして画面の下辺には赤い川で溺死する事件の主導者たちが描かれています。圧政に耐えかねた村民たちが地主宅を襲撃したという事件そのものは描かれませんが、周辺事情を通じてその因果関係が浮かび上がります。寄り目や斜視の犬によって表された人物描写は、土俗的な雰囲気を高めています。

 制作:1958年、小さく「購入」と書かれている。最近まで日本橋日本画廊の所蔵だったが、東京国立近代美術館が購入したということか。戦後美術の傑作が収まるべきところに収まったということだ。

 もう一つ、岡本太郎の「燃える人」も展示されていた。

本作は、1954(昭和29)年3月1日に起きた第五福竜丸被爆事件に着想を得ています。同船が太平洋のビキニ環礁近くでマグロ漁をしていたところ、アメリカ軍による水爆実験に巻き込まれて、乗組員23人全員が被爆したという歴史的な事件です。本作の中央には、爆発のモチーフが見えます。左下にある擬人化された船は第五福竜丸、右下から上にかけて大きくなっていく目のついた物体は、キノコ雲でしょう。時代背景としては、1952年、サンフランシスコ平和条約(日本国との平和条約)の発効。同年、アメリカが水爆実験に成功。1953年、アメリカ大統領のアイゼンハワー国際連合総会で「平和のための原子力」について演説。1955年12月、日本で原子力基本法が制定される、などといったようなことがあります。

 制作:1955年、作者寄贈とある。
 また先に亡くなった河原温の作品が多く展示されていたこと、Chim↑Pomの映像作品が2点、寄託だったが常設展示されていたのも印象的だった。