ジャック・ケルアック、青山南・訳『オン・ザ・ロード』(河出文庫)を読む。原書は1957年に出版され、日本でも1950年代にすでに『路上』の題名で翻訳発行されていた。アメリカで原書が発行されてすぐベストセラーとなり、ビート・ジェネレーションのバイブルとされた。日本でもヒッピーやふうてんのやはりバイブルだった。
主人公サル・パラダイスがアメリカのニュ-ヨークからサンフランシスコまで、親友のディーン・モリアーティとともに車やバス、鉄道などで何度も往復する、まさにon the roadの物語だ。
ディーンは少年院を出てニューヨークに来て小説の書き方を教わりたいとサルのところへ訪ねてきた。意気投合した二人は仲間たちと共に、突然サンフランシスコを目指す。車もヒッチハイクだったり、知人から借りたり、ガソリンを盗んだり、飲酒運転は普通で、マリファナや麻薬を使用しながら、かなり違法なことをして長距離移動をしている。そしてセックスとジャズ。
500ページの本がアメリカの東西を移動する話で埋められている。ビート族やヒッピーなどのバイブルになったのも良く分かる。日本ではヒッピーを真似てふうてん族が流行した。
しかし本書は青春の書だ。私のようなジジイが読んでも若者と違って強く影響されるということはない。もう鳥でも子どもでもないのだから。50年前に読んでいれば人生が少しは変わっていたかもしれない。
でもやはり一度は読むべき本だった。