東京銀座のコバヤシ画廊で坂本太郎展が開かれている(3月30日まで)。坂本太郎は1970年、埼玉県生まれ、2000年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了している。都内では2000年に当時早稲田にあったガルリSOL、2001年以降銀座のフタバ画廊や小野画廊、ギャラリーアートポイント、ギャラリー山口などで毎年個展を続けてきた。ここ10年ほどはコバヤシ画廊で発表している。
画廊へ入って驚いた。今まで坂本は大きな物体=モノを造形してきた。砦のようだったり船のようだったり、決して具象的な造形ではなかったが、「モノ」と言いたいような巨大なオブジェだった。それが今回は、「壁」を作っている。「壁」は「モノ」というよりは障壁、つまり空間を区切るものだ。かと言って坂本は画廊に新しい空間を作っているのではない。まさに空間を構成するための壁を造形している。壁という造形=物体が今回の坂本の作品なのだ。しかし同時に、坂本の作品である「壁」は内側に空間を内包していないように見える。坂本はそのような空間に興味がない。まさに一見空間を内包するような「壁」である造形をそのまま作品として提示しているのではないだろうか。
私には坂本が新しい階梯を一段進んだように見える。新しい次元が始まったのではないか。
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坂本太郎展
2024年3月25日(月)―3月30日(土)
11:30-19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/