コバヤシ画廊の浅葉雅子展-Lovers and Lines-がおもしろい

 東京銀座のコバヤシ画廊で浅葉雅子展-Lovers and Lines-が開かれている(11月4日まで)。浅葉は1982年、女子美術大学日本画専攻卒業。2003年にKONSTFACK(スウェーデン国立デザイン工芸芸術大芸術専攻)で学んでいる。1996年に銀座スルガ台画廊で初個展、2011年からはコバヤシ画廊で毎年個展を開いている。
 コバヤシ画廊で初めて見たときは、春草の「落葉」を引用した作品を展示していて、それがおもしろかった。翌年も春草からの引用だった気がするが、その後浮世絵の春画からの引用に変わって驚いた。まだイギリスで大規模な春画展が開かれる前で、その大胆な発想に驚かされたのだった。しかし作品は完成度が高く、おそらくお客さんたちからの反応も良かったのだろう、春画からの引用が続いた。そして浅葉は好評だった企画を単純に繰り返すのではなく、毎年引用のスタイルを研究していった。







 今回は主に清長の春画から引用し、一部歌麿からも引用しているという。原画の線を取り込んで、半ば妖しい形を想起させ、それを打ち消す造形を加えて、見事な完成度を示している。淵源は明らかに春画でありながら、洗練された造形は応接間に展示しても下品さは感じないであろう。
 もっともその洗練さが欠点と言えるかもしれない。春画からの引用では横尾忠則のポップな作品がある。思い切って下品な造形を追求すれば、浅葉や横尾を抜き去ることができるかもしれない。それは若い人の挑戦すべき方向だろうが。
 いや、上品な浅葉が浮世絵の春画に挑戦してここまで完成度を高めたことを素直に評価すべきだろう。良い個展だった。
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浅葉雅子展-Lovers and Lines-
2017年10月30日(月)―11月4日(土)
11:30−19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/