東京木場公園近くのアンドーギャラリーで中沢研展が開かれている(4月28日まで)。中沢は1970年東京生まれ、1994年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。1992年にINAXギャラリー2で個展を開いた後、ギャラリー現やギャラリー山口、ギャラリー58などで個展を続け、最近はこのアンドーギャラリーで個展を繰り返している。
今回は鉄線と白く塗った木片を組み合わせた細長い2本足のユニットが87個壁面に並んでいる。今までは同じようなユニットがギャラリー空間の中心部に置かれていて、壁際が通路になっていた。今回はその真逆の配置になっている。
以前、中沢と菅木志雄の親近性について触れた。それをもう一度繰り返すと、
菅木志雄はもの派に属している。もの派は「もの」を投げ出すように展示して、作品に過剰な意味を持ち込まない。その中でも菅はとくに作品から意味を捨象することにこだわっているように見える。そして造形的な美を追求することに熱心ではない。だが意味を持ち込まないということは、そのような形で意味に執着しているとも言える。
それに対して、中沢は作品の「意味」に関してニュートラルであって、それにこだわりを持っていない。中沢の追及しているのは造形的な美しさに近いだろう。「意味」と「造形性」に関して、菅と中沢は正反対なのだ。「意味」に関して解りにくいかもしれないが、例えれば憎しみは愛のカテゴリーに属し、愛憎に最も遠いのが無関心だということに近いだろう。
中沢は現象として「もの派」に近似するが、本質的には全く別のスクール(派)に属するだろう。
中沢の作品は美しいのだ。
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中沢研展
2023年3月22日(水)-4月28日(金)
11:00-19:00(日・月・祝日 休廊)
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アンドーギャラリー
東京都江東区平野3−3−6
電話03−5620−2165