東京南青山のDOKAコンテンポラリー・アーツで「絵画と彫刻の調和」浜田浄・湯村光展が開かれている(11月13日まで)。ここでは浜田浄についてのみ紹介する。浜田は1937年高知県出身、1961年に多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業している。2015年には練馬区立美術館で個展が開かれた。
作品の多くは合板に絵具を塗り重ね、それを彫刻刀などで彫り=削り、その凹面に絵具を塗り、彫られていない凸面に別の色の絵具を塗っている。画面は木版画の版木のような凹凸で構成されている。一見ミニマル・アートを思わせるが、画面は無機的ではなく、表情を持っている。だが中心はなく均質な画面が広がっている。
浜田は基本的に平面作品を作っている。一般に平面作品は絵具を使ってイリュージョンを生み出す。平面上に幻影の奥行を生み出す。浜田はそれをしない。浜田はイリュージョンもそれが作る奥行も求めない。その代わり浜田はパネルの表面を彫り、浅い奥行を作り出す。または今回の作品のようにパネルを重ねてレリーフのような立体感を作る。
浜田は徹底して平面にこだわり、それでいてイリュージョンを排して作品としての自立を目指している。一見ミニマル・アートに近い表現でありがらも、作品に表情を与えてミニマルの行き止まりを回避している。
広くはない画廊の二人展という難しい条件の中で、浜田の主張は揺るがない。
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「絵画と彫刻の調和」浜田浄・湯村光展
2021年11月1日(月)―11月13日(土)
13:00-18:00(日曜・祝日休廊)
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DOKAコンテンポラリー・アーツ
南青山「土火=どか」現代美術
東京都港区南青山7-1-12
電話03-3407-3477
※地下鉄 表参道駅(銀座線・半蔵門線・千代田線)B1出口より徒歩10分