ギャラリー川船で浜田浄展を見る


 東京京橋のギャラリー川船で浜田浄展が開かれている(9月16日まで)。浜田は1937年高知県生まれ、1961年多摩美術大学油科を卒業している。1964年、東京杉並区のおぎくぼ画廊で初個展、以来数多くの個展を開いている。2015年には練馬区立美術館で回顧展が開催された。
 以前にも書いたことを再録する。作品の多くは合板に絵具を塗り重ね、それを彫刻刀などで彫り=削り、その凹面に絵具を塗り、彫られていない凸面に別の色の絵具を塗っている。画面は木版画の版木のような凹凸で構成されている。一見ミニマル・アートを思わせるが、画面は無機的ではなく、表情を持っている。だが中心はなく均質な画面が広がっている。 浜田の仕事の大きな特徴の一つは徹底した繰り返しだろう。遠目には色面が広がっているように見える画面が、近づけば無数の小さな筆触あるいは小さな彫り跡で埋められている。大画面の作品ではおそらく何千回かそれ以上もの執拗な繰り返しが行われている。つまり、ここには浜田の仕事の時間の堆積が刻印されているのだ。
 浜田の画面はイリュージョンを拒否している。作品は平面を装いながら微妙なしかしはっきりとした凹凸でできている。イリュージョンの媒体としての平面を裏切って、微かにしかし明確に3次元を追求している。浜田の作品はほとんど平面を装った立体なのだ。すると、それは物質ではないだろうか。


上記の大きな作品の一部


       ・
浜田浄個展-Over Again
2017年9月4日(月)〜9月16日(土)
11;00-19:00(日曜休廊)
       ・
ギャラリー川船
東京都中央区京橋3-3-4フジビルB1
電話03-3245-8600
http://www.kawafune.jp/