藍画廊の日比野絵美展「landscape」を見る

 東京銀座の藍画廊で日比野絵美展「landscape」が開かれている(6月6日まで)。日比野は1986年神奈川県生まれ、2009年に日本大学芸術学部美術学科版画コースを卒業し、2011年に同大学大学院芸術学研究科博士前期過程を修了している。2011年に藍画廊で初個展、その後も藍画廊で何度も個展を開いている。高浜利也に師事したと聞いて納得したのだった。

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上野作品の部分

 日比野はいつも小さな作品を作っていたが今回は驚くほど大きい。基本的な骨格や図柄は変わらなくそのまま大きくなった感じだが、作品の印象はかなり違う。弁証法で量から質への転換という言葉がある。量が変わっていくとある時突然質的に変化するというものだ。日比野の作品サイズが大きくなって弁証法を思い出した。
 一番大きな作品は8列×5段=40枚のシートを繋ぎ合わせている。これが素晴らしい。写真ではその良さが分かりづらいのではないかと思うが、ぜひ作品の前に足を運んで見てほしい。作品を目の前にしたらこの魅力に包まれるだろう。

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 日比野の作品は単純な形や線の繰り返しだ。それはミニマル・アートに通じるのだろうが、決して無機質ではなく、線のかすれや歪みなどからどこか女性的な優しさが感じられる。10年近く見てきて、こんな方向へ発展していると驚き喜んだのだった。
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日比野絵美展「landscape」
2020年6月1日(月)―6月6日(土)
11:30-19:00(最終日18:00まで)
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藍画廊
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル3階
電話03-3567-8777
http://igallery.sakura.ne.jp/