無人島プロダクションの小泉明郎展を見る

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 東京墨田区に移転した無人島プロダクション小泉明郎展:映像インスタレーションVR(ヴァーチャル・リアリティーインスタレーションが開かれている(8月31日まで)。
 映像インスタレーション「Battlelands」は、同時に2面のスクリーンを使っている。この作品では、小泉はイラク戦争アフガニスタン戦争で従軍して帰還したアメリカの退役軍人7人に協力をしてもらい、まず彼ら/彼女らに目隠しをし、GoRpoカメラを頭に装着してもらって、現在の住居や暮らしている街中で日常生活を言葉で描写してもらった。そして全く同じ場所で、今度は戦地でもっともストレスを感じた瞬間を思い出してもらって、それを描写してもらっている。戦争が日常と地続きに感じられる映像になっている。兵士たちの戦場での恐怖や現地の市民たちに与えた脅威が生々しく感じられる。
 VRインスタレーション「Sacrifice」は、バクダッドでイラク人の若者アハメッドに協力してもらい、家族や友人をアメリカ兵に殺された体験を語ってもらっている。アハメッドの頭にカメラを装着し、われわれ鑑賞者もヘッドセットを装着して見ることになる。それはあたかも自分がアハメッドになっているかのような体験だ。
 私は4年前に亡くなった友人ハムのことを思い出していた。たまに飯田市のバー夢二へ行くとハムを呼び出し、十数年前に亡くなった原和のことを話したのだった。アハメッドが亡くなった友人を偲んで腕に抱きしめるような仕草をしたように、原和を偲んでハムに抱き着いた。それをハムはいつも嫌がって、フナ(私)に会うと抱き着かれるから気持ち悪いと言っていた。そのハムが亡くなって原和が決定的に失われたことを感じたのだった。
 ハムや原和と共通の友人小池が亡くなったのが2年前だった。それによってもう原和のこともハムのことも語り合える友人がいなくなってしまった。3人が決定的に失われたことが確信された。

 

 無人島プロダクション

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