童話『いやいやえん』を読む

 中川李枝子 さく・大村百合子 え『いやいやえん』(福音館)を読む。ベストセラーの童話だという。私が図書館から借りた本が、2009年4月発行で127刷となっている。初版が1962年12月だから、47年間で127刷、毎年3刷を重ねていることになる。現在まで同じペースで売れていれば150刷を超えているだろう。
 そういえば佐野洋子『100万回生きた猫』もずいぶん前に400万部を超えているとあった。評判の高い童話や絵本の発行部数はハンパなものじゃない。
 なにがそんなに面白いのかと読んでみた。ちゅーりっぷほいくえんを舞台に、そこに通うしげるちゃんが主人公の話が6編、「ちゅーりっぷほいくえん」「くじらとり」「ちこちゃん」「やまのこぐちゃん」「おおかみ」「山のぼり」「いやいやえん」が収録されている。
 「くじらとり」は保育園で作ったらしいおもちゃ?の舟で鯨を捕りに行く話。捕った鯨を紐で縛って保育園まで帰ってくる。でも鯨は海がいいなと言うので紐をほどいて海へ返してやる。
 「やまのこぐちゃん」は保育園に小熊がやって来た話。お昼寝している間にお母さん熊がそっと連れ帰る。「おおかみ」は子どもたちを食べちゃうぞという狼をみんなで捕まえてパトカーに引き渡す話。
 「いやいやえん」は、わがままを言うしげる君をお母さんが保育園ではなくいやいや園に連れて行く。いやいや園では嫌なことはしなくていい。しげる君が積木で遊ぼうとすると意地悪な男の子に取られてしまう。それを先生に訴えると、いやいや園では取ったものを返すのが嫌なら返さなくてもいいんだと相手にしてくれない。おやつの時間も赤いものが嫌いだと言ったしげる君だけはビスケットで、ほかの子たちはおいしそうなリンゴが配られている。1時になってお母さんがお迎えに来て、しげる君はやっぱちちゅーりっぷ保育園の方がいいやと言う。
 さて、読み終わって、残念ながら私にはどこがおもしろいのかさっぱり分からなかった。でもとにかくこれがベストセラー、ロングセラーなんだ。すると私の評価が間違っていることは明らかだ。どうやら私には童話を評価する力がないようだ。


いやいやえん (福音館創作童話シリーズ)

いやいやえん (福音館創作童話シリーズ)