ギャラリーCOEXIST-TOKYOで北岡明佳を見る

 東京江東区木場駅近くのギャラリーCOEXIST-TOKYOで「光波:視覚」展が開かれている(7月3日まで)。ギャラリーのホームページから、

この度、gallery COEXIST-TOKYO では、光波または視覚をテーマとした展覧会「光波:視覚」を開催する運びとなりました。本展は、足立喜一朗、池佐美、川口恵里、北岡明佳クワクボリョウタ、高橋士郎、時里充が参加する、「光波と視覚」を「反射」「残像」「投影」「錯視」「焦点」といったキーワードで紐解く、世代をこえた作家・研究者による展覧会です。

 会場に入ると、北岡明佳の作品が目に入った。北岡については、以前、藤田一郎『脳はなにを見ているのか』(角川ソフィア文庫)を読んで、それをこのブログに紹介したことがある。その口絵に北岡の図版が掲載されていて、とても驚いたのだった。それは錯視がテーマになっていた。3年前に紹介した記事の一部を再録する。

 はじめに実在しないものが見えることがあるという例を不思議な図を用いて確認していく。下の図は、北岡明佳が作成した「蛇の回転」という図。静止しているはずの図像が回転しているように見える錯視。

 この錯視は、しかし60、70歳代の人間には現れないという。私も全く動いて見えなかった。半信半疑で20歳代前半の若い画家に見せたところ、これ、ダメです、気持ち悪くなっちゃう、と言われた。
 図版そのものには回転している要素はない。それが錯視されることについて、

 目に映っているものは同心円なのに見えるものはらせん模様であったり、同じ印刷がなされているものがちがった色や明るさに見えたり、何も描かれていないものが見えたり、目の前にあるものが見えなかったりする。これらのことは、眼底に映った外界像を網膜の細胞がとらえて生体電気信号に変換した段階で、「見える」という知覚が生まれているのではないことを示している。網膜から電気信号が脳に送られ、脳の中で処理され、その結果生成された電気信号が私たちの知覚意識のもとになっている。見ることも、ほかの心のできごとと同様に脳によって担われている。

 さまざまな図版が駆使されて、見ることと脳の不思議な関係が解説される。

 今回の展示で、上記の図版の大きなものや、その他数点の同じように動いて見える図版が展示されているそれらの一部を次に紹介する。


 なかなか面白い体験だった。


『脳はなにを見ているのか』を読んで(2013年6月20日

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「光波:視覚」展
2016年6月4日(土)−7月3日(日)
11:00−19:00(月曜休み)
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ギャラリーCOEXIST-TOKYO
東京都江東区木場3-18-17
03-5809-9949
http://coexist-tokyo.com
地下鉄東西線 木場駅3番出口から徒歩6分