藍画廊の立原真理子展「−庭と川−」を見る


 東京銀座の藍画廊で立原真理子展「−庭と川−」が開かれている(8月2日まで)。毎年、銀座〜京橋周辺の現代美術の画廊が企画している「画廊からの発言−新世代への視点」の今年、藍画廊は立原真理子を選んだ。立原は1982年茨城県生まれ、2006年に女子美術大学芸術学部洋画専攻を卒業し、2008年に東京芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了している。2007年に銀座のフタバ画廊で初個展を開き、その後2012年に巷房2と階段下で、2013年に藍画廊、2014年にHasu no hanaで個展を開いている。また2013年にはギャラリーCOEXIST-TOKYOのグループ展等にも参加している。
 立原はしばしば実際に使われていた網戸を使用している。今回も網戸を天井から吊るし、それに刺繍をして図柄を作っている。今回のタイトルが「庭と川」で、そう思えば日本庭園の池や島、滝や川のような形が見える。網状の支持体を使っているので、リバーシブルというか両面から鑑賞することができる。網目を通して向こうの景色が作品に重なっても見える。壁面には平面作品が展示されているが、これも網状のものに描かれている。









 立原の個展はおそらくすべて見てきて、2012年の巷房の個展の完成度が高いと思っていたが、今回はそれを上回るのではないか。立原の展示は個々の作品が独立していながら、個展会場全体としてインスタレーション的に統合されてもいる。今回成功していると感じたのは、おそらく個々の作品の完成度が高く、また全体の構成が洗練されているためではないか。ただ、巷房での発表のときのような秘めた情念が見られなくなっているのは、少し物足りない。見る側の過剰な要求なのかもしれないが。
 立原がパンフレットに簡単な制作意図を書いている。

「内側と外側」「彼岸と此岸」といった/風景の中の境目の在り方をテーマに制作しています。/時間軸で変化する風景、内側に映り込む外の風景をモチーフに/本質的なものの表情や新しい景色のひろがりを表現します。

 似た表現をしている作家を思いつかない。立原の行方も興味深いものがある。
       ・
立原真理子展「−庭と川−」
2014年7月21日(月)−8月2日(土)
11:30−19:00(最終日−17:00)日曜休廊
       ・
藍画廊
東京都中央区銀座1-2-5 西勢ビル2階
電話03-3567-8777
http://www.igallery.sakura.ne.jp/