ガレリア・グラフィカbisの山本圭子展がおもしろい


 東京銀座のガレリア・グラフィカbisで山本圭子展が開かれている(11月28日まで)。山本は1982年静岡県生まれ、2005年に東北芸術工科大学彫刻コースを卒業し、2007年に同大学大学院彫刻領域を修了している。今回が初個展だという。
 画廊に足を踏み入れると、右の壁に額からはみ出し重なりあった多数の赤い円盤状の作品が展示されている。この過剰さは女性作家かと思ったら、奥から山本圭子が現れた。だが今回の目玉作品は正面の壁面を覆うような茶色い顔の作品だった。天地左右がいずれも3mという巨大な顔、これは段ボールでできている。段ボールといっても、顔を構成している面は段ボールの切断面だ。つまり後ろに60cmもの奥行きがあるレリーフ状の作品なのだ。これには本当に驚いてしまった。

 重量を問うと分かりませんとの答え。段ボールはすべて商店などからもらってきたもの。ただただ圧倒された。右上の梁とぶつかる部分がくり抜かれているので、個展が終わったあとに修復するのかと訊くと、いいえ、しません。個展が終わったら壊して廃棄します、保管する場所がないから。え、もったいないじゃん。でも仕方ないんです、誰かもらってくれないかなあ。
 たしかに段ボールとはいえ、3×3× 0.6mという大きさはハンパではない。これだけのものを作り上げた山本の発想とエネルギーは並のものではないだろう。あるいは相当大きなキャパシティを秘めているのかもしれない。優れた作家の誕生に立ち会った気がする。

 会場にはほかに布を層にしたレリーフ状の女性の肖像や、眼と口だけをこれもレリーフ状に制作したどちらも小品が展示されていた。
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山本圭子
2015年11月23日(月・祝)−11月28日(土)
11:00−19:00(最終日11:00−17:00)
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ガレリア・グラフィカbis
東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1階
電話03-5550-1335
http://www.gg-bis.com