ギャラリーなつかの小松葉月展(たまびやき)を見る

 東京京橋のギャラリーなつかで小松葉月展(たまびやき)がひらかれている(10月10日まで)。従来のたまびやきは先週開かれたが、それは学部生によるもので、今年は大学院生を取り上げて個展とした。小松は1991年神奈川県生まれ。2015年に多摩美術大学美術学部工芸学科陶専攻を卒業し、現在同大学院工芸専攻に在籍中。昨年の「たまびやき」に出品したほか、今年東京のDESK/okumuraやJINENギャラリーで個展を開いている。
 今回の個展に当たって、小松がメモのようなテキストを書いている。

大切な家族の体の部分を作りました。
私にとって、たくさんの小さな顔を作ることは、マイナスなことをプラスに変えてくれる大切な手段です。
これで悲しくてかき消したい出来事も前向きな強さに変わると信じて作り続けています。

 さて作品を見てみよう。


これが父とのこと。たくさんの背後霊を負っているらしい。顔は動物みたいだ。

父方の曾祖母の耳

父方の祖母の手

母方の祖母

姉の胃の穴

飼っていた猫

飼っていたラブラドール犬
 いずれも表見に無数の小さな突起が付いている。突起にはぽつぽつ穴が開けられていて、よく見ると顔に見えるようになっている。「たくさんの小さな顔を作ることは、マイナスなことをプラスに変えてくれる大切な手段」とはこのことだ。ちょっと草間彌生を思い出させる。
 モデルになった人間はみな健在で、曾祖母は100歳を越えているという。犬と猫は14歳で死んでしまった。
 小松の造形もおもしろいし、世界観というか人生観もユニークですばらしい。小さくまとまっていないのが評価できるのではないか。少しばかり荒っぽくても、価値観の裾野がこんなに広ければ大成するかもしれない。先行きが楽しみな作家だ。
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小松葉月展
2015年10月5日(月)−10月10日(土)
11:00〜18:30(土最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか&C-View
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1階
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/